Itsukushima Shrine
Introduction
朱の大鳥居と壮麗な海上社殿で名高い厳島神社は、広島県廿日市市宮島に所在する。祭神は市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)・田心姫命(たごりひめのみこと)・湍津姫命(たぎつひめのみこと)の三柱で、神社の創建から現在に至るまで、多くの人々が祈りを捧げ続けている。
神社の歴史は相当に古く、推古天皇元年(593)に佐伯鞍職(さえきのくらもと)が神勅に基づいて最初の社殿を建立したと伝わる。その後、仁安三年(1168)に時の権力者・平清盛が現在のような海上社殿に造り改めた。清盛は大々的な土木工事によって川の流れを変更し、分厚く堆積した土砂を取り除いた。こうして造られた人工的な入江の波打ち際に、当時の貴族の住宅形式である寝殿造を模して、神を祀るための建物群が築かれたのである。
建永2年(1207)と貞応2年(1223)の二度にわたり、厳島神社は全焼の憂き目にあったが、その都度、朝廷と幕府の力によって再建が果たされた。現在の厳島神社は二度目の再建時から姿を大きく変えておらず、部分的に建物の造替や増築が行われたものの、清盛以来の海上社殿は忠実に昔の姿を保ち続けている。